全日本トラック協会へ政策要求を申し入れ

運輸労連と合同で全ト協へ要請

 交通労連トラック部会(山口部会長)は、2015年12月21日に運輸労連と共同で全日本トラック協会(星野良三会長)へ、2016年度交通運輸政策に関する要請を行いました。

 政策要請では、トラック運輸産業の健全な発展と働く者の生活の安定及び地位向上を求め、労使で共通の課題に対して力を合わせて取り組んでいくことを確認した。また、要請終了後に国土交通省も参加し、第44回物流政策懇談会を開催しました。

「もっと業界の適正化に取り組むべき」と山口部会長

 全ト協への政策要請申し入れには、交通労連トラック部会から山口部会長(労連中央執行委員長)、園田副部会長、貫トラック部会事務局長、手水政策部長が出席し、運輸労連からは、難波中央執行委員長をはじめ各代表が参加しました。

 全ト協側からは、福本秀爾理事長をはじめ、細野専務理事、齋藤・山崎・松崎・藤原各常務理事ら各課代表が応対しました。

 冒頭、山口部会長があいさつに立ち、「まずもって、共同政策要請を受けていただいたことに感謝したい。日頃より、トラック運輸産業の発展のためにご尽力いただいていることに敬意を表したい」と政策要請について感謝を述べた後、「先日、運輸事業振興助成交付金出捐金事業評価機関会議でも述べたが、トラック運輸産業の新たな成長や社会的評価の向上、コンプライアンス遵守に向けて業界内で取り組んでいる中で、残念ながら過積載や過労運転、飲酒運転による事故などが発生し、経営者や運行管理者が逮捕される事態が起きている。一部の悪質事業者の行為であるが、業界の社会的地位向上をめざす中で、もっと業界の適正化について取り組んでいかないといけない」と訴えました。

「業界の発展については、労使でめざす方向は同じ」と福本理事長

 次いで、全ト協の福本理事長から、「われわれトラック運輸業界で長年の課題となっている取引環境と労働時間の改善を図るため、中央と全都道府県に協議会が設置された。労働組合をはじめ国交省及び厚労省、荷主、有識者、業界が参加し協議を行っている。われわれも全ての資源を投入し、協議会でよい結果を得られるよう努力していきたい。業界の発展については、労使で目指すべき方向は同じであり、本日は是非、忌憚のない意見を出していただきたい」と述べました。

 次いで、運輸労連の世永副委員長が要請項目(別項参照)の要旨について説明した後、全ト協から要請に対する回答がありました。

 松崎常務理事は、「適正運賃の収受については同意見であり、契約の書面化の推進も含めて、国土交通省と相談しながら進めていきたい。また、『地球温暖化のための税に対する還付措置』については、六万以上の事業者に還付するには膨大な申請業務が必要になり、また、手数料なども考慮すると現実的ではなく、補助金という形で進めるよう検討している」と述べました。

 引き続き、人材不足について藤原常務理事から、「労働力の確保は喫緊の課題であることは言うまでもない。今年度は新たに人材確保セミナーを実施し、若手や女性ドライバーの採用・定着、高齢ドライバーにいかに長く働いてもらうかなど、魅力ある働き場所にするための取り組み内容を紹介している。今後も人材確保に向けて、労働組合や荷主にも協力をいただきながら進めていきたい」と述べました。

 その後、意見交換を行い、企業倫理の再認識、人材確保に向けた賃金の底支え、荷役作業などについて質疑応答を行って終了しました。

要請終了後に国土交通省と第44回物流政策懇談会を開催

 政策要請終了後に国土交通省自動車局の藤井局長をはじめ各課代表も参加し、第44回物流政策懇談会が開かれた。

 冒頭、藤井自動車局長があいさつに立ち、「予算、税制の時期だが、車体課税の見直しが協議されている。現在の自動車取得税の軽減措置を維持した上で、環境性能に応じた軽減を深堀りしており、トラックにおいては恐らく全体で二十億円程度の軽減になるだろう。補正予算についても今年度同額分を確保できそうだ。今後のトラック産業については労働環境の改善を図るため、協議会の場も活用し、しっかりと進めていきたい」と述べました。

 次いで、全ト協の星野会長から、「官労使で諸問題について忌憚のない意見交換をしていただきたい」と述べた後、交通労連の山口部会長は、「労働力不足について、協議会でなんとか突破口を見出していきたい」と述べました。

 続いて、国土交通省から産業の現状及び協議会での議論、予算、税制について報告が行われた後、意見交換を行い終了しました。

 なお、政策要請申し入れ及び物流政策懇談会で提出しました要請書については、部会資料集「トラック部会」(組合員限定ページ)からダウンロードできます。

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