シェアリングエコノミーってなんだ?

 「交通の安全と労働を考える市民会議」が日本労働弁護団と共催で、「シェアリングエコノミーってなんだ?~ライドシェアから考える~」をテーマに公開シンポジウムを4月26日に東京都・千代田区「衆議院第一議員会館」で開きました。

 シンポジウムでは、様々な立場から約350人を超える方が参加

 冒頭、日本労働弁護団の事務局長でもある嶋崎弁護士があいさつに立ち、「多くの方にシンポジウムに参加いただき感謝申し上げたい。シェアリングエコノミーはまだまだ知られていない問題が多い。それにも関わらず『利便性を高める』『安い方がよい』などの報道が先行しており、非常に危険だ。このシンポジウムを通じて多くの方にとって、問題を考えるきっかけにして欲しい」と述べました。

 次いで、既にウーバー社を中心とするライドシェアが導入されたアメリカ・サンフランシスコから、元タクシー運転者でサンフランシスコ・タクシーワーカーズ・アライアンス代表のマーク・グルバーグ氏を講師に迎え、基調講演を受けた。
 マーク氏は、「ライドシェアのビジネスモデルはタクシー運転者だけでなく、環境及び労働の未来に大きな影響を与える。これは決してタクシーのみの問題ではない」と訴えました。

 続いて、アメリカでのタクシーが置かれている状況について触れ、「アメリカのタクシーは企業及び運転者、安全、運賃、車両数などの規制は都市レベルで行われている。また、企業から一定の指揮命令は受けているが、ほとんどの運転者は個人事業主として扱われている。そのため労働法等の保護は享受出来ず、労働組合も結成出来ない。これは、ウーバー社の運転者も同様だが、車両整備や健康チェックなどの取り巻く規制については大きく異なり、総じてタクシーの規制より緩くなっている。運賃については大きな問題があり、ウーバー社は平時では、タクシーよりも安い運賃を設定しているが、繁閑期には逆に高い運賃が設定される。シドニーで人質事件が発生した時にも運賃を上げ、多くの方面から批判を受けた」と説明した後、「安い運賃設定が出来るのは、車両整備及び運転者の健康管理などの規制が緩く、安全コストが運賃に転嫁されていないことの他に、ウーバー社は自ら運賃を補填することで安い運賃を実現している。しかし、ウーバー社は大幅な損失を出しており、このような状況を長く続けることは出来ない。タクシー産業は、ウーバー社の運転者が爆発的に増加した結果、過剰供給となり、多くのタクシー会社が倒産。タクシー運転者の収入は激減した」とライドシェア導入により、タクシー産業に与えた影響について述べました。

 最後に、「利用者にとってウーバー社のような配車アプリの登場により、利便性が向上したのは間違いないが、日本は既にプロ意識の高い運転者がおり、高品質なタクシーサービスがある。利用者にとって使いやすい統一的な配車アプリがあれば、ウーバー社のようなサービスを導入する意義はない。アメリカには『壊れていないものをなおすな』という言葉がある。また、ウーバー社の提供するビジネスモデルは、多くの労働者を権利や保護のない労働条件に引き込む。質の高い公共交通がある日本にライドシェアは必要ない」と述べました。

 引き続き、市民会議事務局の川上資人弁護士をコーディネーター、マーク氏を含む四名の有識者(戸崎肇教授【首都大学東京】/山崎憲主任調査員【労働政策研究・研修機構】/棗一郎弁護士【日本労働弁護団】)をパネリストに招き、ディスカッションを行いました。

 山崎主任調査員から、「シェアリングエコノミーとは、企業や個人の遊休資産を最大限に有効活用する仕組みであり、その一つがライドシェアだ。この中で働く人は雇用されず請負で働いており、ヨーロッパでは2割~2割5分の方がこのような形で働いていると言われている。この人達へのアンケートでもっとも多い意見が『収入が低い』『将来に不安がある』『社会保険や年金が無い』などだ。今後、このような働き方に対して新しい規制やセーフティネットが必要だ」と訴えました。

 棗弁護士は、「雇用によらない労働力の切り売りが社会に大きく拡がっていくのではないかと危惧している。また、雇用労働者として認められないため、労働組合がなく、企業と交渉しようとしても圧倒的に企業が強い立場にある。それにより労働が安く搾取されやすい。逆に企業は重い雇用責任から免れる。これは日本の雇用社会を崩壊しかねない問題だ。既にこの問題に対して幾つか裁判で争われ、判例も出てきている。内容をきちんと検討した上で、立法化して脱法的・濫用的な個人請負などの働き方を認めないようにしていくことが大切だ」と雇用によらない労働に警鐘を鳴らしました。

 戸崎教授は、地方の足としてライドシェアを検討されている点について、「過疎地ではタクシー事業が成り立たなくなり、そこにウーバー社などが入ろうとしているが、これも都市部でライドシェアが解禁されれば、利益に繋がらない地方はすぐに撤退するだろう。地方の足を守るには、行政が中心となって、法人タクシーが地方で安定供給できる環境を創りあげなくてはならない。また、ライドシェアに反対するだけでなく、公共交通が利用者に選ばれる魅力的なものにしていく努力が必要不可欠だ。そのためにも公共交通で働く人の労働条件を良くしていかなくてはならない」と訴えました。

 また、パネリスト以外にも連合北海道から請負労働による問題について報告、宮里弁護士をはじめ日本労働弁護団の多くの弁護士、民進党の宮崎衆議院議員から意見が出された後、盛会裏に終了しました。

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