なぜ労働組合は必要なの?

働く中で疑問・不満・・・そして、不安がありませんか?

「普段働いていると多くの職場の問題に気づくんだよなぁ~。どうやら自分だけではなく、同じ職場の仲間も同じ意見を持っているみたい。この意見を会社に分かってもらえれば、もっと良い職場になるのに。会社と話し合える機会が必要かと思うんだけど・・・」

「みんなで力を合わせて、仕事をがんばった甲斐もあり、どうやら会社の業績は上がったみたい。でも、お給料は変わらない・・・。私一人がお給料を上げてと言う勇気もないし、まともに話も聞いてくれないよね。誰か会社と交渉してくれないかなぁ」

「いつも遅くまで働いていて休みもとれない。そのうえ、適正な残業分ももらえていない。これって明らかにおかしいよねぇ。でも、一人で上司に言うとクビになりそうで怖い。しかも、社長は業績が悪いという理由で賃金制度が変えると言っているみたい。さらにお給料が下がるか不安だし、ホントに業績が悪いのかも疑問だなぁ。」

働いていれば疑問や不満が出てくるのは自然なことです

 普段、まじめに働いていれば労働条件や賃金、仕事のやり方、職場環境などについて
「なんかおかしいな」
「上司に意見するとクビになるかも」
「もっと良くしていきたいな」
――と感じることや不安に思うことがありますよね。
そう思うことは、いたって自然なことです。
大切なのは、そんな疑問や不満をそのままにせずに、自分たちで改善・解決していくために行動することです。

労働組合をつくることがベストです!

 労働組合を正しく理解していない方の中には、「労働組合=ストライキ!」と思い、「労働組合は会社の敵だ!」と思っている人も多くいます。
 たしかに、争議行為と呼ばれるストライキなどは、労働組合に与えられた重要な権利ですが、その権利を実行するのが目的ではなく、出来る限り、問題解決に向けて労使が粘り強く話し合い、お互いに納得できる解決方法を引き出すことが労働組合の目的です。
 そのため、会社が労働組合を敵視するのは大きな間違いであり、もちろん、労働組合も会社を敵視することは間違いです。

 では、なぜ、職場の抱える問題や不満を改善・解決するのに、労働組合をつくることがベストなんでしょうか?

 それは・・・

労働組合が従業員の悩みや意見を聞きます

 従業員の抱える問題は一人で解決できるものばかりではありません。
 パワハラやセクハラ、育児や介護など、その多くが会社に相談しにくい、相談できない悩みです。
 労働組合は“組合員の味方”であり、仲間の悩みについて真摯に相談に乗ることができ、内容によっては労働組合として会社へ改善を働きかけることが出来ます。

労働組合があることで、会社と対等な立場で交渉ができます

 労働組合があれば、会社と対等の立場で交渉する権利(団体交渉権)が保障されます。この団体交渉権は労働組合法で保障されているので、会社は正当な理由がないのに、交渉を拒否できません。

 また、労働組合をつくり、たくさんの職場の仲間が力を合わせることで、一人では泣き寝入りするしかなかった問題も、皆で力を合わせて会社と交渉することで解決につながっていきます。

団体交渉は会社にとっても、従業員の意見を聞くことができる貴重な機会です。労働組合が多くの従業員の意見を吸い上げるので効率もよく、その後の対応についても従業員の協力を得られやすくなります。

労使で働き方のルール(労働協約)を締結することが出来ます

 労働組合は、団体交渉などで会社と合意した内容(例えば、賃金体系や労働時間制度など)を「労働協約」として締結することが出来ます。

 これにより、労働協約とは非常に強い力をもっており、労働協約の内容に違反する労働契約の内容は無効となり、無効となった部分は労働協約の基準がこれに代わります。

労働協約とは・・・
労働組合と会社が合意した内容を文書化し、両当事者の署名または記名押印を行ったものです。その効力は「就業規則」や「労働契約」より強く、労働協約の内容と異なる条件は無効となります。労働協約は労働組合しか締結することが出来ません。

  

会社からの嫌がらせがあっても法律が守ってくれます

不当労働行為は法律違反です

 一般的に知らない方も多いのですが、労働組合は憲法第28条や労働組合法で認められており、非常に強力な力をもった組織です。
 会社が下記のような行為を行うことは、労働組合法第7条の「不当労働行為」として禁止されています。会社が不当労働行為を行うと法律違反となります。

 労働者が・・・

  • 労働組合の組合員であること
  • 労働組合に加入しようとしたこと
  • 労働組合を結成しようとしたこと
  • 労働組合の正当な行為をしたこと

 を理由に、会社が労働者に対して

  • 解雇・懲戒解雇
  • 配置転換
  • 賃金・昇進等の差別
  • 嫌がらせ
  • 組合員と非組合員の差別

 をすること。

 そして、嫌がらせや処分の撤回をしない会社には、労働組合として「労働委員会への救済申し立て」を行うことが出来ます。

不当労働行為とは・・・
1号:不利益取扱い
 組合員や組合に加入をすることに対して、会社が異動や解雇等を行う行為
2号:団体交渉拒否
 会社が正当な理由なく、団体交渉を行うことを拒否する行為
3号:支配・介入
 会社が組合への加入などを妨害したり、従業員へ加入有無を確認する行為
4号:報復的不利益取扱い
 会社が不当労働行為を申し立てたこと等を理由に解雇や移動等の不利益な行為を行うこと

粘り強く会社に理解してもらうことが大切

 不当労働行為は違法です。
しかし、だからといってすぐに労働委員会や裁判に訴えるのではなく、労使でお互いに理解を深める努力を粘り強く行うことが大切です。
 もちろん、そのためには強い交渉力が必要になりますし、不当労働行為を受けている方の支援も必要です。
必ず、上部団体に相談し、支援をお願いしましょう。

労働委員会への救済申し立てとは・・・
会社に不当労働行為に該当する行為があったと思われる場合、これらの行為を正してもらうために、労働組合または労働組合の組合員が各地域の労働委員会へ救済の申立う制度です。審査は学識経験者などの公益委員、労働組合から推薦された労働者委員、使用者団体から推薦された使用者委員の三者で構成された委員が労使双方から事情を聴きながら、救済命令もしくは棄却命令を出します。命令に不服がある場合は再審査もしくは裁判へ命令の取り消しの訴えが出来ます。

会社にとっても 労働組合があった方がよい

 労働組合は、賃金などの労働条件の向上だけを会社に求めるだけではありません。
労働組合が吸い上げる多くの従業員の意見を聴けることは、経営を行う上で非常に参考になりますし、労使紛争を未然に防ぐことにも繋がります。

 また、会社が従業員に理解・協力を求めたいときにも、労働組合を通すことで協力を得られやすくなるメリットがあります。

 また、交通労連は雇用の維持・拡大を目指し、会社の生産性の向上に取り組み、その成果は労使で公正に配分するよう労使で協議を行う「生産性3原則」(日本生産性本部が提唱)の実現に取り組んでおり、会社の発展にも労働組合として貢献します。

 もちろん、不当労働行為や不誠実な団体交渉(交渉に応じないなど)は許されませんし、会社に改善を促します。

 しかし、最終目的は職場の課題や問題を解決し、労働者と会社が力を合わせて良い職場をつくり、生産性を向上させ、業績を向上させ、結果、良い労働条件を実現する労使関係をつくることです。

 その実現のためには、労働組合をつくることがベストなんです。

生産性3原則とは・・・
1.雇用の維持・拡大
 生産性の向上は、究極において雇用を増大するものであるが、過渡的な過剰人員に対しては、国民経済的観点に立って能う限り配置転換その他により、失業を防止するよう官民協力して適切な措置を講ずるものとする。
2.労使の協力と協議
 生産性向上のための具体的な方法については、各企業の実情に即し、労使が協力してこれを研究し、協議するものとする。
3.成果の公正配分
 生産性向上の諸成果は、経営者、労働者および消費者に、国民経済の実情に応じて公正に分配されるものとする。