思い切った価格交渉で適正な価格転嫁を

 エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、政府は毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」に設定しています。

 この「月間」おいて、価格交渉・価格転嫁を促進するため、広報や講習会、業界団体を通じた価格転嫁の要請等を実施、各「月間」終了後には、多数の中小企業に対して、主な取引先との価格交渉・価格転嫁の状況についてのフォローアップ調査を実施し、価格転嫁率や業界ごとの結果、順位付け等の結果をとりまとめるとともに、状況の芳しくない親事業者に対しては下請中小企業振興法に基づき、大臣名での指導・助言を実施されています。

 2023年3月の状況は、「価格交渉を申し入れて応じて貰えた/発注側からの声かけで交渉できた」割合が前回調査(2022年9月)より増加(58.4%→63.4%)するなど、価格交渉の実施状況は一部では好転しています。

 一方、「発注側から交渉の申し入れが無かった」「協議に応じて貰えなかった」「減額のために協議申し入れがあった」が 依然として約16%あり、二極化が進行しています。

 価格転嫁の状況をコスト要素別でみると、エネルギーコスト35.0%労務費37.4%で、前回調査よりそれぞれ約5ポイント上昇しましたが、原材料費の48.2%よりは約1割、低い水準にとどまっています。

 また、受注側企業から見て、発注側企業に対して価格転嫁して貰えたかについて、価格転嫁に相対的に応じて貰えている業種は、卸売、紙・紙加工、小売、相対的に応じて貰えていない業種は、トラック運送、放送コンテンツ、金融・保険となっています。

 なお、2023年8月29日、経済産業省 中小企業庁は、同調査において10社以上の受注側中小企業から「主要な取引先」として挙げられた発注側企業について、「①回答企業数」(=リスト掲載企業を「主要な取引先」として回答した受注側中小企業の数)、受注側中小企業からの「②価格交渉の回答状況」、「③価格転嫁の回答状況」について整理し、発注側企業を評価した「企業リスト」を引き続き実名で公表しました。


 

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